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執筆者の写真The Peach City

「自分の住むところは、自分たちで良くしていく」 小さな町で感じた大きな役割と、スタートラインのマスタード


近年、しばしば話題にのぼる「地方都市への移住」について。

生まれ育った地元に貢献したいと考えたり、地方にしかない魅力に触れたいと思ったり、はたまたパートナーの転勤でやむなく…という場合もあるかもしれません。行動のきっかけは様々ですが、地方に惹かれるのは、都会とは異なる環境に新しい刺激と可能性を感じるからではないでしょうか。


今回紹介するのは移住者でもあるひとりの女性が、ここでしかできないこととしてはじめた「笛吹マスタード」の取り組みです。


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「笛吹市地域おこし協力隊」第1号・木村さん


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木村 早希(きむら さき)


愛知県出身。結婚を機に笛吹市に転居し、暮らし始める。「笛吹市地域おこし協力隊」第1号に就任し、移住定住サポートのかたわら、土地の特性を生かした国産マスタードを開発。まもなく任期を終えるが、マスタード事業は「ぴりまるけ」として継続する。


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大都市から、田舎へ嫁いで感じたこと

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「地方へ移住したい」という人が年々増えていますが、笛吹マスタード工房の木村早希さんは、縁あって笛吹市で暮らすことになった女性です。


「出身は名古屋です。学校卒業後、地元の小売店で働いていましたが、もっとやりがいを感じられる仕事に出会いたいと東京へ行きました。職業訓練校を出たのち、Web制作関連の会社に就職しました。ニュースアプリを担当し記事を書いて発信するなど、大変ではありましたがやりがいを感じられる仕事に就くことができました。


2年半ほど東京で働き、笛吹市に暮らし始めたのは3年前。当時お付き合いをしていた彼と結婚を考えていたので、彼の実家がある山梨へ引っ越してきました。


引っ越しが落ち着き、「何かしなきゃ」と思っていたところ見つけたのが市役所の『笛吹市地域おこし協力隊』のお仕事です。実際、田舎暮らしはもっと不便かと思っていたけれど、そうでもなかったり、聞いていた通りに果物が美味しかったり、『笛吹市はいいところだな』と思っていました」


『地域おこし協力隊』となったからには自分自身が笛吹市のことをもっと知らなければ、と考えた木村さんは、積極的に出かけ、あちこち見てまわります。そして、自分の心が動いたことをSNSやブログなどで発信するなど、活動にもつなげていきました。


引用元:地域おこし協力隊Facebook



何かができると感じられるから、「やってみよう」と思える

「笛吹市の暮らしや、地域おこし協力隊の活動を通して感じていたのは、一人ひとりの役割の大きさです。ここでは、東京のように何万人の中の一人ではありません。人間ひとりの影響力の大きさに気づきました」


クルマがあればどこへでも行くことができるから、不便を感じることもそれほど多くない。それどころか、水や空気がきれいでフルーツも美味しく、さらに一人ひとりが“自分の役割”を持てる町だと認識した木村さんは、かねてよりぼんやりと頭の中にあった「食品を開発したい」という夢を、実現に向けて走り出させます。それが「笛吹マスタード」事業でした。


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「マスタードの着想は、昔のヨーロッパではマスタードの原料に酢ではなく、未熟ぶどう果汁を使っていたことから、もう一つの主原料であるカラシナは、市内のあちこちに自生していることを見つけました。それなら、フルーツの名産地であり、そしてカラシナに適した気候と土壌のある笛吹市で生産することができるだろうと思いました」


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引用元: 地域おこし協力隊Facebook

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作り方や世界にどんなマスタードがあるかなどを調べるところから、カラシナ栽培、果汁を絞る未熟なぶどうの確保、そして様々な調理器具を揃えること…。


2017年の9月に始動したマスタード事業は1年後、3種類(トータル約3000個)の国産マスタードになりました。


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「特徴は香りが強いこと。余計なものを一切使わず、カラシナの種と未熟ぶどう果汁のみを原料としていますので、素材がいきた素朴な味わいになっていると思います。


また、笛吹のフルーツを原材料に使った『フレーバーマスタード』も知ってほしいです。これは本場フランスのマスタードに学んだアイデア。フランスにはハーブを練りこんだものやカシスを用いたものなど、土地の名産を生かした様々な味付きのマスタードがあるんです」


小さな小瓶に入った、ピンクのすももマスタード。観光客の方に笛吹市のお土産として注目してほしいのはもちろん、地元の人にもぜひ味わってもらいたいと木村さんは話します。



東京ではつくれないもの、味わえないことを

地域おこし協力隊として、3年の任期をまもなく終える木村さん。退任後は「ぴりまるけ」という屋号で、マスタード事業を継続していきます。


「地域おこし協力隊の活動を通して、自分たちの住むところは自分たちで良くしていこうという意識を持つことを学びました。また、東京では一つの“仕事”でしたが、ここでは色々なことを同時にやりながら生活をすることができていると考えています。農業も、製品づくりも、東京ではできなかったことです」


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それぞれの町に、それぞれの町の良さがあるということは、自分が実際に足を運んでみて、初めて気づくことかもしれません。


笛吹市の魅力を凝縮した「笛吹マスタード」は、笛吹市の新たなアンバサダー。これからさらに多くの人に届き、町を有名にしてくれるかもしれません。


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