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執筆者の写真The Peach City

生活の中に、山梨のワインを。産地が教えるラフなワインの楽しみ方

国内外で評価が高まる「日本ワイン」。

日本のワインが美味しくなった理由には、つくり手たちが変わってきたことがその一つにあげられるでしょう。


家族経営のワイナリー「アルプスワイン」の醸造家・前島良さんは、お酒と料理の愛好家。「自分だったらこんなワインをつくりたい」「こんなつまみと合わせたい」とイメージを膨らませながら、理想のワインを描いています。


食べるほどに飲みたくなり、飲むほどに食べたくなる。前島さんのつくるワインは、いつだって料理と仲良し。


アルプスワインが教えてくれる、この地のワインの親しみやすさ。


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アルプスワインの醸造家・前島さん


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前島 良(まえしま りょう)


アルプスワイン創業者・前島福平の孫であり、醸造責任者。手がけたワインは国内外で高く評価され、受賞歴多数。現在は余計なものを削ぎ落とした「クリーンなワイン」を探求している。家族や子供に、レシピや盛り付けに凝った料理を作ることや、食事と一緒にお酒を嗜むことも好き。


アルプスワイン株式会社公式Website: http://www.alpswine.co.jp/

前島さんFacebook: https://www.facebook.com/ryo.maeshima


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お酒好きのおじいちゃんの話

山梨県は、日本におけるワインづくり発祥の地。

とくに、あちこちにぶどう畑が広がり、大小さまざまなワイナリーが集結する峡東エリアは、ワイン好きの期待と羨望を集める「一大産地」を形成しています。


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直営店の前に広がるぶどう畑と山並み。

「うちは家族経営のワイナリー。父で3代目になります。創業者は、僕のおじいちゃん。“福平さん”というのですが、その福平おじいちゃんが当時地域のみんなで集まってワインづくりをしていた場所の運営が厳しくなると、それをそのまま引き取ったのが“アルプスワイン”の始まり。大のお酒好きだったそうですよ」


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どこかの醸造所などで修行をしたわけではない。ワインづくりは地域の慣わしのような位置で、ただ生活とともにあった。福平さんは、いろいろな人に話を聞いて、手伝いに行って、ワインづくりを覚えたのだと言います。


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その頃の前島家は、お米や肥料、養鶏やお蚕などを扱う「問屋」さん。現在醸造所となっている施設はかつて、養鶏場でした。


醸造歴24年。でも、思い通りにいかない

子どもの頃からワインづくりの手伝いをし、醸造家となって24年。ワインづくりという仕事の面白味について問うと、前島さんは首をひねります。


「なかなかね、思い通りにいかないんだよね」


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国内外で受賞したり、美食家たちをうならせたり、ショップには置き場がなくて重ねてしまうほどの賞状やトロフィー。アルプスワインのワインは客観的にみても評価が高いし、ボトルをあけたらいつの間にか空になってしまったほどに美味しい。


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ショップには多数の賞状とトロフィーも並んでいます。

けれど、前島さんが目指すものはまだまだ先。


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目指すものはクリーンなワインと。

「ネガティブな要素が一つもない、クリーンなワインを目指しているんです。無駄を取り除いてブドウを生かし、時間がたつほどにきちんと熟成するワイン。そういうのをつくりたいんです」


余計なものを加えないことでできるのは、淡々と流れる時間を超えていくような“何年ももつワイン”なのだとか。


「闇雲に削るじゃいけないんですよ。もともと醸造用の品種じゃないブドウが始まりの日本のブドウですが、その香り、味わい、酸味といったポテンシャルを最大限に体現できるものが理想です。まだまだ満足できていないですね」



日本でつくれば「日本らしさ」

ワイン通たちが“ワインには産地が宿る”なんて言うのを聞いたことがあります。では一体、笛吹市らしいワインってどんなものなのでしょう。


「例えば『甲州』どこか桃っぽいニュアンスが出るんですよ」


と、前島さん。本当かどうか確かめたいなら、ぜひ現地に訪れて試飲を。


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様々な種類の試飲コーナー。

ところで日本のワインの人気は、もはやブームではなく定番と言えるほど。たくさんの人を感動させ、笑顔にし続けている日本のワインについて、「日本の食卓に最も合うワイン」なのだと前島さんは言います。


「例えばハンバーグだって、日本でつくれば日本食だと僕は思っているんです。ワインも同じ。もともと外国のお酒ですけれど、日本で作られたワインは“日本のもの”。日本に根ざしたワインであればよくて、海外を真似る必要はないと思うんです」


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息子さんの名前の一部を用いた遊び心あるワイン「あわのすけ」

実際、海外のコンクールで、“日本の白ワイン”として評価をされ続けているアルプスワインのワイン。その土地と人々の生活をうつしだすような味わいが、これからのワインの姿なのかもしれません。


この地で、どんなものができるか。前島さんの試行錯誤は続いています。


今日はどのワインを飲もうかな

山梨県には大小80軒以上のワイナリーがあるそう。こんなにワインが豊富な環境において「何と何の合わせがいい」とか、「温度がどう」とか、ルールに縛られてしまっては、なんだか少しもったいない…。


「ボトルを買って帰ったら、それは家で飲むものでしょう?それならもっと、気張らず自由に飲んでほしいと思います。“マリアージュ”と呼ばれるものは、確かにありますけれど、何と何が合うというベストな組み合わせを自分で探してみるのも楽しいですよ。


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軽い気持ちで生活の中にワインを取り込むことはどうかな?

『今日はとりあえずビールじゃなくて、シャンパンにしちゃおうかな』くらいの気軽さで、ワインを生活の中に取り込んでもいいんじゃないかな」


何種類と試して、美味しさにびっくりして、山梨のワインに魅了されて。星の数ほどある組み合わせの中で、どんな出会いがあなたの心を揺さぶるのか。


あなたも、ワインをめぐる長い旅をはじめてみては?


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